原子炉の型式

原子炉の型式に関して基本的なことを勉強するためにいくつか本を探してみた。原子力発電の話というのは、政治的な問題として取り上げられがちで、純粋に技術的な説明だけをしている一般の書籍は少ないことがよくわかった。
政治的問題を抜きにして原子力技術の概要だけを知るにはこの本を読んだ。

原子力発電がよくわかる本
原子力発電がよくわかる本
オーム社 2009-03
売り上げランキング : 21386

おすすめ平均 star
star原発賛成,反対いずれの人にも好適な教科書

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

原子力発電の安全性や経済性に関しても章を設けて説明されているが、安全性や経済性も考慮して原子炉は設計されるべきであるので、技術の問題の一部としてそれらを扱うことに違和感はない。技術の入門書として良い本なのではないか。

今回知りたかったのは原子炉の型式についての知識なのだが、それらは一般書籍で扱うには少し専門的すぎるようだ。
ネットで調べた点をまとめる。
参考サイト
原子力防災対象原子力施設
原子力防災基礎用語集

発電用原子炉は主に軽水(普通の水)炉であり、軽水炉には加圧水型(PWR)と沸騰水型(BWR)がある。

  • PWRの概要
    • 炉心で加熱された高温高圧水から蒸気発生器(SG)を介して発生させた蒸気でタービンを回す間接サイクルであるのでタービン設備が非放射線管理区域になる。
    • 高圧(約160気圧)にすることで高温の一次冷却水が沸騰しないようにする。SGで二次冷却材を沸騰させタービンを回す。
    • 一次冷却系配管の破断に伴う冷却材損失事故に備えて非常用炉心冷却装置を設けてある。
    • 世界で最も多く稼働している型式。日本では23基(2008年3月現在)。
    • 主要メーカーは、三菱重工ウェスティングハウス+東芝
    • 関西電力はPWRを原子力発電所の基本設計として採用している。
  • BWRの概要
    • 炉心で冷却水を沸騰させて発生させた蒸気で直接タービンを回す直接サイクルであるので原子炉圧力が低く(約70気圧)、タービン設備が放射線管理区域になる。
    • 日本では32基(2008年3月現在)が稼働している。
    • 主要メーカーは、日立、GE。
    • 東京電力BWR原子力発電所の基本設計として採用している。

このあたりの専門的な内容を詳細に解説した本はこれがいい。専門的な内容のわりに教科書と銘打ってあるためか値段がリーズナブル。

原子力プラント工学 (原子力教科書)
原子力プラント工学 (原子力教科書)
オーム社 2009-02
売り上げランキング : 161031


Amazonで詳しく見る
by G-Tools